当社の「インド産野生黒蜂蜜」は非加熱ではありません。
インドから野生黒蜂蜜の輸入を初めておよそ20年が経ちます。
「インド産野生黒蜂蜜」は国連開発計画とインド政府KVICがコラボして始めた天然資源開発プロジェクトで、私どもシタァールが日本の輸入元です。
次第にファンの方が増えて、今では年間5トンほどを販売しています。
また、フィナンシェ等の焼き菓子がとても美味しくなるということで、プロのパティシェのにも喜ばれています。
ところが、しばしばお問い合わせがあり「非加熱ですか?」と尋ねられます。
「いえ、46℃~50℃で湯煎加熱しています。」と答えると、
「非加熱でないのなら買いません。」とおっしゃっておしまいになるのですが、加熱した蜂蜜には価値がないとでも言わんばかりの反応に心が痛みます。
蜂蜜を加熱する理由をご存知ない方が多いと思うので、少し説明をさせていただきます。
蜂蜜を加熱する最も大きな理由は「酵母の働きを止めるため」です。
自然界の花には酵母がついていますが、蜂は蜜を集めてまわる時に体にたくさんの花粉と一緒に酵母もつけて巢に帰って来ます。
花粉は蜂が出す分泌液で加工され、プロポリスやローヤルゼリーの材料になりますが、酵母は蜂蜜に含まれたままで、そのままの状態では蜂蜜の糖分を発酵させてお酒にしてしまいます。
これが蜂蜜酒というお酒がある所以です。
蜂の巣でもそのままにしておくと同じことが起きるのですが、蜂は賢くて羽ばたきで体温をあげると同時に蜂蜜中の水分を蒸発させて酵母を死滅させて発酵を止めます。
人間がこの作業が完了する前に蜂から蜜を奪ってしまうので、その蜂蜜は発酵してお酒になるのに十分の量の糖分と水分、さらに活性した酵母を含んでいる状態のままです。
そういうわけで養蜂業者は蜂蜜をとった後、国際規格で決められた水分量にあわせて酵母の働きを止めるために加熱をするのです。
ただし加熱と言っても直接鍋にいれて火にかけるのではなく、二重になっているステンレスのタンクで間の層にお湯を巡らせる湯煎方式で加熱します。
余談ですがその時に蒸発した蒸気は冷水の中を通過させて液化し、化粧水等として有効活用されます。
もうひとつ大切なことですが、もし非加熱で蜂蜜を輸入し流通させるためには、蜂が国際規格に合うまで充分水分を蒸発させて、羽ばたき加熱で酵母が死滅するまで待たなければなりません。
販売まで相当な時間を要する蜂蜜になってしまい、とてもレアな蜂蜜として目の玉が飛び出るほど高価な蜂蜜になってしまうのではないでしょうか。
もしくは、蜂が加工を施す前に採集した蜂蜜を採集現場から輸入経路、販売店、おうちのテーブルまでマイナス温度帯で管理する必要があります。
急激に一定のマイナス温度まで持っていくと結晶が起きず、糖度が高いので完全に凍らずに保管できるからです。
もし冷蔵で保管した場合には、蜂蜜に含まれる花粉を核としてブドウ糖が結晶してしまうので、結晶を避けたいユーザーには不向きだからです。
「インド産野生黒蜂蜜」は、夏には気温50℃を越えるインド亜大陸のど真ん中で生き抜く蜂の食餌となる蜂蜜です。
それを46℃~50℃で酵母発酵を止めるために加熱したとして果たして品質が損なわれるでしょうか。
私どもはこの様に厳しい環境で生き抜くインド大蜜蜂、別名ロックビーの価値を高く評価しています。
だからこそ20年前にこのスキームに乗り輸入を開始したのです。
「インド産野生黒蜂蜜」は、輸入通関後品質を保持し更に良くするために、日本氷温協会認定の氷温熟成倉庫でマイナス温度帯で保管されています。
検査によると3ヶ月以上の氷温貯蔵で各種アミノ酸の値が増え、糖度も増してまろやかな味になることが証明されています。
最後に、蜂蜜の価値は非加熱だけでは決まりません。
私どもの「インド産野生黒蜂蜜」の事業は、森林保護・水資源の確保・少数部族の経済的自立に役立っています。
いわゆる持続可能な事業です。
また栄養学的にはマグネシウムやカリウムなどの他、プロポリスやローヤルゼリーのもとになる花粉や甘露(ハニードゥ)といった西洋蜜蜂では得にくい物質をジャングルの花々から集めてきています。
蜂蜜の価値というものを色々な角度から見て知っていただきたい思っております。
インド国立蜜蜂調査研修研究所で、掲示されていたテキスト
「If no bee
No pollination
No plant
No animal
No man」
アインシュタイン
「マハトマガンジーは毎朝数種類の蜂蜜を食べていた。」